#7 何度もすみません(2013)

MacGuffins#7 何度もすみません(2013)

びっくりすると過去に戻ってしまう体質の主人公が奮闘する物語。
「ジェンガが崩れるその瞬間を」との依頼でした。
ジェンガ。うちにそのようなものあったかな。いや、ない。
UNOもオセロも置いていないこの家に、ジェンガなんてあるわけがなかった。

ジェンガは比較的楽に仕入れることができました。
問題はその後です。
倒れる瞬間を撮る、ということは「ジェンガを倒す人」が必要なわけです。
基本的にわたしは人を使わないので、ジェンガを倒す人は自分。
もちろんシャッターを押すのも自分。
カメラの位置的にもセルフタイマーを使用しないとシャッターボタンまで手が届きません。
ズームするとしてカメラに手が届いたとしてもジェンガに集中しつつシャッターを切るのは至難のわざ。
あいにく連写機能のないデジタルカメラ。
セルフタイマーをセットし、それに合わせて確実に倒れる速さで引っこ抜く。
10秒タイマーにタイミングが合わなかったり、
思った向きに倒れなかったり、シャッターを押す前にジェンガが倒れたりを繰り返しました。

何度も何度も何度も何度もジェンガを倒しては、拾い集め、組み立て、いい具合に間引く。セット直後、テーブルに膝をぶつけてジェンガ倒壊。という出来事に床に頭がつく程うなだれたりもしました。
ええ…なにこれ…?
めっちゃ地味やん。地味すぎるやん。
そしてなんやろう、なんというか、しみじみと、悲しい。

ジェンガを美しく倒す役目のわたしも、ベストなタイミングでシャッターを押す役目のわたしも
どっちもとちってるからやり直し。どちらもわたしなのです。
うまくできないわたしが「二人」もいる。いつもの倍へこむ。
いつもなら励ましてくれるはずの「もう一人の自分」まで一緒に落ち込んでいる。
いやいや、なんやこれ。

納得いくまで「一人ジェンガ」を続けていると、
撮影開始のときには明るかった部屋は日が暮れて薄暗くなっていました。
このときわたしの頭をよぎったのは、やはりこの言葉です。

「何度もすみません…」

誰に対してなのか。何に対してなのか。自分でもわかりません。

仕上がったチラシを見た某氏から言われました。
「えらい上のほうで倒しましたね。ははは」

もし今後こういう撮影があれば、誰か人を呼ぼうと心に誓いました。