#8 赤鬼(2013)

MacGuffins#8 赤鬼(2013)

これまでずっと横田氏の脚本だったのですが、今回は野田秀樹氏脚本の「赤鬼」を演じるとのこと。
チラシおもて写真の要望も送られてきました。
「白いワンピースを着た女が鬼のお面をかぶって薄暗い森の入り口で立っている。お面は少しずれている」
正確な文面ではないけれど、そんな依頼でした。

まずはワンピースを探しました。
クローゼットの中を見渡せど白いワンピースはありません。
季節は冬。ZOZOTOWNを検索しまくりましたが、濃い色のワンピースしか出てきません。
締切から逆算してもそろそろ仕入れないとまずい、という時期まで迫っていました。
年末になれば配送も混むし、仕入れが三が日以降になると非常に危うい。血眼になって古着通販の検索からようやく見つけた理想に近いワンピースは、しかし、半袖でした。
長袖か、七分、いや、五分でもいい。袖がほしい。
ポチポチポチポチ、検索の鬼と化します。
しかし日程に余裕もありません。わたしは腹をくくりました。
これでいこう。半袖のワンピース。
そしてモデルは、わたしがやる…ッ!!!!

鬼のお面を仕入れ、半袖ワンピースを纏い、山に向かいます。
忘れもしない2013年1月1日。
元日。真冬の盆地。
前日の雨が凍り、地面には霜がおりているではありませんか。

なんということでしょう。依頼には「裸足で」とあったのです。
真冬の、山で、裸足で、半袖ワンピース?

「何が赤鬼か!!鬼は古田島氏(演出)ではないか!!!」

ええ、誰も半袖とは言っていません。完全なる八つ当たりです。
わたしがこのとき見つけられた白いワンピースが、ただ、半袖だっただけです。
足元は何やらハリハリした草が生い茂り、歩くたびに激痛が走ります。
寒さで足の感覚は徐々になくなっていきました。
吐く息は白く、風が吹くたび木々の露が降りかかります。
前回「撮影には人をつかう」と誓いはしたけれど、
一体どんな人にこのような苦行をお願いできるでしょう。
こんな無茶なモデルをお願いできるのは、わたしぐらいしかいない。
ああわたしが二人いればいいのに。

そんな思いになりながらセルフタイマーをかけ、
セッティングした三脚と撮影位置を往復しました。
「ぎえええええええ」
という叫びは山から程近い団地に聞こえていたかもしれません。

素敵な2013年の始まりでありました。